経営理念の作り方|事業に本気で向き合っていたら、自分の軸が掘り出されていた

この記事の要点
- 経営理念は、外から借りてきた言葉では人に届かない。もともと自分の中にあるものを、掘り出すもの
- 掘り出してくれたのは、事業だった。本気で取り組むほど、事業は「あなたは何者か」と問いを投げてくる
- 身体の軸をトレーニングで整えるように、人としての軸は事業と発信で整っていく。勉強会では、それを一緒にやっています
経営理念は、机の上で作るものだと思っていました。
本を読んで、ほかの会社の理念を眺めて、きれいな言葉を選ぶ。
実際に、そうやって作ろうとしたこともあります。
でも、できあがった言葉を読んでも、心が少しも動きませんでした。
今は、迷ったときに立ち返れる言葉があります。
「フィットネスとWebに救われた恩義を、正しい形で社会に還元する」
当社の経営理念です。
これは、机の上で作ったものではありません。
事業に本気で向き合っているうちに、自分の中から掘り出されてきたものでした。
この記事では、その過程を書きます。
真面目にやっても報われなかった経験
大学2年生のころに、インターネットでの仕事を始めました。
参入するのに資格も経験もいらない。
何者でもなかった自分が、何者かになれる可能性に憧れました。
周りが就職活動を始めても、私は就職しませんでした。
新卒フリーランスというやつです。
真面目にやったつもりでした。
でも、まったく報われませんでした。
貯金が数万円まで減ったとき、母に「就職してくれ」と言われて、心が折れました。
就職して、辞めて、もう一度インターネットの世界に戻って…でも、またうまくいかない。
その繰り返しでした。
私は、追い込まれると力を発揮するタイプではありません。
焦りが先に来て、誰にも何も言わずに、静かにいなくなる。
そうやって、何度も人の前から消えてきました。
28歳で、筋トレに出会いました。
やればやるだけ、身体が変わっていく。
それまでの仕事では一度も味わえなかった「努力がちゃんと結果になる」感覚に、救われました。
筋トレのことをブログに書いていたら、それが少しずつ仕事になりました。
読者さんのために「今回のセールは見送ったほうがいいです」と正直に書くほど、読まれて、売れていく。
誠実にやることと、売れることは、ぶつからない。
それを初めて身をもって知ったのも、このころです。
そして、ようやくうまくいき始めた2020年に、埼玉の大宮から新潟へ移住しました。
新潟で、新しいことは何一つうまくいかなかった
新潟には近くに通えるジムがありませんでした。
だったら自分で作ればいい。
そう思って、パーソナルジムを始めました。
自分ではトレーナーをやらず、人に任せる形です。
好きだからこそ、すごい人をたくさん見てきたからこそ、自分がトレーナーを名乗るのが恥ずかしく抵抗がありました。
1年目の年商は、27万円。ゼロからのスタートでした。
私は不動産賃貸業に夢中で、ジムはほとんど任せきりでした。
任せた方は2人いらっしゃいましたが、どちらも離れていきました。
2人目はトレーナーの仕事だけでは食べていけなくなって、アルバイトを始めて、最後に「続けることができません」と言いました。
そのとき、気づいてしまいました。
やる気はある。真面目にやっている。でも、うまくいかない。
それは、昔、自分がさんざん味わってきたことそのものでした。
真面目にやっても報われない状況を、今度は自分が作る側になっていたんです。
これに気づいたときには絶望しました。
「こんな思いは、二度としたくない」
2023年の秋、トレーナーの経験がないまま、自分が現場に立ちました。
それからも、うまくいかないことばかりでした。
ホームページは7回作り直しました。
料金の形は、4回変えました。
売上が0円の月が、3か月続いたこともあります。
事業は、何度も「あなたは何者か」と聞いてくる
本気で事業に取り組むと、逃げられない問いが次々にやってきます。
料金を決めるとき。
「誰に、何を約束するのか」
人に任せて失敗したとき。
「なぜ、自分はそれがこんなに許せないのか」
未経験のトレーナーさんを育てるとき。
「なぜ、わざわざ全部をマニュアルにするのか」
お客様に卒業をすすめるとき。
「続けてもらったほうが売上になるのに、なぜ」
一つ一つは、経営の問題です。
でも答えようとすると、毎回、自分自身の話になっていきました。
事業の問いに本気で答えようとすると、それは自分との対話になる。
そうやって問いを追いかけていくと、話はどんどん、事業を始める前に戻っていきました。
問いを追いかけていったら、子どもの頃に辿り着いた
父はスキーの先生でした。
私も3歳からスキーを始めて、小学6年生のときに県のチャンピオンになりました。
身体が小さくて、ほかに誇れるものが何もなかった私にとって、スキーは「好き」というより、自分を認めてもらえる、たった一つのものでした。
中学2年生で骨折して、それも失いました。
家には、お金がありませんでした。
暮らしに困っていたわけではなかったですが、子供ながらに裕福ではないと気づいていました。
だからこそ、何かを「やりたい」とお願いした記憶が、ほとんどありません。
そんな中でも、1つだけ記憶があります。
小学生のころ、本格的な卓球教室に一度だけ参加させてもらって、全然ついていけずに泣いた記憶です。
そのすぐあとに、親に言いました。
「ここでやりたい」
その願いは、流されました。
できない自分をさらした、まさにその場所で言った「やりたい」でした。
それ以来、私は「やりたい」を口に出す前に、自分の中で片づけるようになった気がします。
恥ずかしい話ですが、子どものころ、祖母の財布からお金を抜いて、カードゲームを買ったことがあります。
結局、謝ることができないまま、お別れしてしまいました。
自分がちゃんとしていないことを、一番知っているのは自分です。
だからこそ、ちゃんとしたい。
自分がなぜこんなに「誠実」にこだわるのか、ずいぶん後になって、やっと分かりました。
自分の内側から掘り出された言葉
全部を並べて、気づいたことがあります。
新しいことに踏み出せないのは、「できない」ときではありませんでした。
上達の道筋が見えないときでした。
こうやれば上手くなる、と分かっていれば、できないことにも挑戦できる。
だから私は、マニュアルを作るんです。
だから、未経験のトレーナーさんを育てたくなるんです。
だから、お客様には「卒業できるまでの知識」を渡すんです。
全部、あの日の卓球教室で泣いていた自分が、フリーランスの仕事が上手くいかずに心が折れた自分が欲しかったものです。
静かに消えていく人を、消えさせない。
この言葉が出てきたとき、新しいものを作った感じは、全くしませんでした。
ずっとそこにあったものに、やっと名前がついた。
そんな感じでした。
先月、創業理念にも一語だけ足しました。
「フィットネスとWebに救われた恩義を、正しい形で社会に還元する」
フィットネスに身体を、Webに暮らしを救われた。
掘っていくと、どうしても外せない一語でした。
商品・サービスは、生き方そのものだった
もう一つ、掘り出してみて分かったことがあります。
商品・サービスには、作った人の生き方が、そのまま出るということです。
私は関東にいたころ、新しいことを始めるたびに、人との関係をバツッと切ってきました。
学生時代の友だちも、ほとんど残っていません。
人はいつ、どこでつながるか分からないのに。
その後悔があるから、今は関係を切らない生き方をしたいと思っています。
そして、それがそのまま、ジムの形になっていました。
お客様には卒業をすすめます。
でも、卒業したら終わりにはしません。
卒業したあとも通える24時間ジムをつくって、卒業した方が顔を出せる勉強会を毎月ひらいています。
売って終わりの商品・サービスにするか。
ずっと付き合い続ける商品・サービスにするか。
これは、売り方のテクニックの話ではありません。
どう生きるか、の話です。
だから、生き方が決まっていないと、商品・サービスも決まりません。
商品・サービスが決まらないと、集客も、採用も、何を言えばいいか分からなくなる。
私が関東でも、新潟の最初の2年でもつまずいたのは、たぶんそこでした。
生き方を決めないと、事業はうまくいかない。
そして、生き方を決めるというのは、新しく何かを決めることではありません。
自分の中にもともとある軸を、見つけることなんだと思います。
身体も、お店も、軸から整える
ジムで、身体の軸の話をよくします。
身体の軸が安定すると「股関節・背骨・肩甲骨」の動きが連動して、身体は小さな力で、正しく動けるようになります。
軸の作り方は、人によって違います。
だから、正しいフォームを外から当てはめるのではなく、その人の身体にもともとある動きやすさを、トレーニングの中で引き出していきます。
人としての軸も、同じだと思っています。
軸は、外から借りてくるものではありません。
軸は、もうあなたの中にある。掘り出して、整える。
身体の軸がトレーニングで整っていくように、人としての軸は、事業に本気で取り組むことで掘り出されていった感覚があります。
私にとっての掘る道具は、パーソナルジムという事業と、Webでの発信でした。
事業がうまくいかないたびに、自分と向き合う。
向き合ったことを、こうして言葉にして発信する。
発信すると、共感してくれる人が来てくれて、事業が少し強くなる。
その繰り返しの中で、私自身の人間性も、少しずつ磨かれてきたと思っています。
お店も同じです。
自分の中から掘り出した軸と、価値観と、売っている商品・サービスが一本でつながっているお店は、無理に売り込まなくても、言葉がまっすぐ届きます。
自分がお客さんの立場でも、そういう人から買いたいと思います。
軸を整える場として、勉強会をひらいています
この軸の作り方を、共有したいと思っています。
身体の軸は、パーソナルジムで。
そして、それ以外の軸は、毎月の勉強会でお伝えしています。
- 生活の軸:食事、睡眠、自律神経。生活のリズムを整える習慣を、定期勉強会「カラダの取扱説明書」でお伝えしています。どなたでも参加できます
- 人としての軸:パーソナルジム立ち上げ勉強会では、パーソナルジムという事業を通じて、人が集まる人になること、つまり人としての軸をしっかりさせていくことを伝えています
- お店の軸:お店を経営している方とは、商品・サービスづくり、集客、リピート、採用、教育を一つずつ見直しながら、その根っこにある軸を一緒に掘り出していきたいと考えています(お店の仕組みづくり)
私の場合、その道具はWebでした。
発信しながら事業を強くして、その過程で自分を磨いていく。
業種が違っても、この形は持ち運べると思っています。
いきなり何かをお願いする場ではありません。
まずは、あなたの事業の話と、その奥にある話を、聞かせてください。
見附の方は、月に1回のBar双葉町に、ふらっと来ていただくのでも大丈夫です。
このブログを運営している人
小川健太|チカラコブ株式会社 代表取締役:今は新潟県見附市で、パーソナルジム「CLASSIC GYM」と女性専用24時間ジム「ココカラジム」を運営しています。
歩みを読むFOR GYM OWNERS
うまくいっていないパーソナルジムを、1件だけ、全力で立て直します。
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