アイシングの効果があるやり方を理学療法士が伝授。ケガを早期回復!

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こんにちは!現役理学療法士のNatsumiです。

暖かくなりスポーツシーズン到来!ボディメイク中の方は減量真っ只中ではないでしょうか。

そんな大切な時期にケガはしたくないですよね…。

ケガは予防することがとても大切ですが、いくら注意してもケガをしてしまうことはあります。

そこで、ケガで悔しい思いをする人が少しでも減るよう、今回は理学療法士&陸上部トレーナーの経験から、ケガをしてしまった時の応急処置方法をお伝えしたいと思います!

今回特にオススメするのは、ケガをしてしまった時だけではなく、少し違和感がある時や軽い痛みの場合にも簡単に行える「アイシング」です。

アイシングは重要な応急処置方法です。応急処置の仕方によって回復具合がかなり変わってくるので、ぜひ覚えておいてくださいね。

自分だけではなく、トレーニングをしている家族や友達がケガをしてしまった場合にも、知識があって処置をしてあげると尊敬&感謝されること間違いなしです!

応急処置はどんなケガの時に行うのか

今回は応急処置が重要となるスポーツ外傷に焦点を当てて説明したいと思います。

少し紛らわしいですが、スポーツ障害という分類もあります。スポーツ障害は予防をしていれば防げることが多く、ケガになる前の疲労回復が最も大切です。

スポーツ外傷とスポーツ障害とは
・スポーツ外傷:「一度の大きな外力によって発症してしまうケガ」です。

代表的なものに捻挫、骨折、肉離れ、打撲、突き指、ぎっくり腰などがあります。

・スポーツ障害:「繰り返し起こる外力(使いすぎ)によって起こるケガ」です。

ランナーに多いシンスプリントや腸脛靭帯炎、疲労骨折、野球やテニスの野球肘・テニス肘、腱鞘炎などが挙げられます。

スポーツ外傷の応急処置はRICE処置が重要

応急処置とはケガによるダメージを最小限にとどめるための方法です。

世界的に有名であり、日本整形外科学会でも提唱している応急処置方法にRICE処置があります。

RICE処置とは

以下の4つの頭文字をとった応急処置の方法です。

Rest(安静):ケガをしてしまった部分を装具や包帯、テーピングで固定し、なるべく動かないようにすることで悪化を防ぎます。骨折の場合は段ボールや雑誌などを添え木にして包帯で固定すると効果的です。

Ice(冷却):氷嚢やビニール袋に氷を入れてケガをした部分を直接冷やして内出血や腫れを抑え、痛みの感覚を緩和させます。出血している場合は止血効果も得られます。アイシングが代表的な冷却方法です。

Compression(圧迫):伸縮性のある包帯やテーピングを使用し、圧迫することで内出血や腫れを抑えます。四肢の先ほど圧迫が必要で、身体の中心に近いほど徐々に緩めて巻いていくので、少し技術が必要です。きつく圧迫しすぎると指先などがうっ血(青紫色になる)したり感覚が無くなってしまい危険なので、確認しながら巻くようにして下さい。

Elevation(挙上):重力の影響で心臓より遠い位置にある場所ほど血液やリンパ液が滞り、腫れは強くなります。ケガをした部分を心臓より高い位置に挙げて、内出血や腫れを抑えましょう。

注意
RICE処理は、「応急」処置です。適切な処置は医療機関で受ける必要があることを忘れないで下さい。応急処置よりも医療機関への搬送の方が早い場合は、搬送を優先させましょう。すぐに医療機関を受診できない場合でも、RICE処置をした後に、必ず受診するようにして下さい。

RICE処置はもう古い?今はPOLICE処置の時代!

先ほどRICE処置の方法を説明しましたが、現在は過度の安静は回復を遅くしてしまうとう考えが出てきています。

私もトレーナー的立場上、安静という言葉は好みません。

ケガをしてしまい医者に行くと「しばらく運動は休んで様子を見て」と言われることも多いです。安静にしていれば悪化することはありませんが、過度の安静は筋肉や体力を減らしてしまい、トレーニングへの復帰が遅れてしまいます。

そこで今、提唱されてきているのがPOLICE処置です。

POLICE処置とは、Rest(安静)をProtection(保護)とOptimal Loading(適切な負荷)に置き換える考え方です。

Protection(保護)とOptimal Loading(適切な負荷)

・Protection(保護):装具やテーピングなどでケガの部位を保護して悪化を防ぐ。

・Optimal Loading(適切な負荷):早くから適切な負荷をかけることで組織の修復を促進し、早期からのトレーニング復帰に繋げる。

トレーニーは筋トレをしないと気が済まなくなって、たとえ肩が痛くても脚のトレーニングに行ったりしますよね。恥ずかしながら私もその中の一人です。

でも、それが正しいと思います!

「安静」が必要なのは肩であって脚ではないので、身体全体を休める必要は無いからです。

さらに言えば、筋肉のケガの場合は「適切な負荷」に対し、特に筋のネガティブ運動だと筋肉への負担が大きくなるので、筋肉の収縮が少ない負荷(筋張を保つなど)を選んで痛みのない範囲で動かすことが大切です。

骨折であれば、骨をくっつけるために、「絶対に動かしてはいけない期間」がある場合もあります。しかし、その期間以降は少しずつ負荷をかけた方が骨が治りやすいと言われています。

注意
自己判断は危険ですので、医師や理学療法士、トレーナーに十分相談するようにしましょう。

早期回復に特に重要なのはIce(冷却)とCompression(圧迫)

RICE(POLICE)の中でも特に重要なものはIce(冷却)とCompression(圧迫)です。

この2つは、内出血と腫れを最小限に抑える大切な処置です。

突き指してしまった時のことを思いだしてみて下さい。指が大きく腫れて曲げ難くなりませんでしたか?

内出血や腫れは、関節の動きを妨げてしまい、可動域を再び獲得するまでのタイムロスが生じてしまいます。

内出血や腫れがひくまではケガをした部分を温めたり、血流を促進するようなことは避ける必要があります。入浴はせずにシャワー浴で済ませ、飲酒は控えましょう。

アイシングの生理学的効果を解説

少し専門的な内容になるので、小難しい話が苦手な人は読み飛ばして下さい!

アイシングによって起こる反応を生理学的に解説します。

一時的血管収縮と二次的血管拡張

アイシングによってまずは血管が収縮します(一時的血管収縮)。血管の収縮により内出血や腫れを防ぐことができます。

20分以上アイシングを行うと、寒冷誘発血管拡張(二次的血管拡張)が起こります。これにより血管浸透性が亢進し反射性充血を引き起こすため、かえって腫れが酷くなる可能性があります。そのため、20分以上のアイシングは避ける必要があります。20分を一区切りに繰り返し行う方法であれば問題ありません。

疼痛閾値の上昇(痛みの感覚を鈍くさせる)

アイシングによる冷却刺激が、痛みの信号伝達を抑制します。ゲートコントロール説といい、痛みと違う感覚を入れることで、痛みが脳に伝わる速さを抑制し、痛みの感覚を鈍くさせます。

また、ケガをした局所の冷却によって感覚が無くなることで、痛みを感じにくくさせます。

神経伝達速度の低下

感覚神経・運動神経の両方の伝導速度を低下させます。そのため、神経・筋接合部での活動が低下し、瞬発力を求める運動では反応が遅れてしまいます。

新陳代謝の低下

冷却に弱い酵素が反応を弱め、細胞のエネルギー需要を抑えることでケガをした周辺の細胞を守る働きをします。これにより内出血や腫れを最小限に抑えることができます。

アイシングの効果があるやり方。これが正しいアイシングの方法!

アイシングは間違えた方法で行う方が非常に多いです!

先日、トレーニング仲間が擦り傷のある打撲箇所に冷却湿布を貼っているということを聞いて驚きました。傷ある場所に湿布を貼ると、傷が悪化し、治りが遅くなってしまいます(市販されている湿布薬にも傷のある場所には貼らないよう記入されています)。その方にはすぐに湿布を止めてアイシングを行うことを勧めました。

私のトレーニング仲間のように間違った知識で、治りが遅くなって辛い思いをしないように、効果的な正しいアイシング方法をお伝えします!

アイシングの効果的なやり方

使用する物:氷、氷嚢(無ければビニール袋)

作り方:氷嚢に氷と少量の水を入れ、氷嚢の空気を抜いて蓋をします。

冷やし方:ケガの部分に直接当てます。可能な限りElevation(挙上)しながら行いましょう。

時間:1回のアイシング時間は15~20分で、感覚が無くなったら終了です。

氷はご家庭の製氷機で作ったもので構いません。氷は冷凍庫の温度になっています。このままだと冷たすぎて凍傷になる危険性があるので、水を入れて温度を少し上げて行いましょう。

氷嚢の空気を抜くのは、肌に当たった時にムラが無く均一になるためです。

アイシングを始めると①冷感 ②灼熱感(ヒリヒリする)③ピリピリとした痛み ④感覚が無くなる といった順番で感覚が変化します。感覚が無くなるまで15分~20分かかりますが、感覚が無くなったら1回のアイシングは終了です。

注意
心臓に持病がある方、感覚障害や冷感アレルギーをお持ちの方は医師への相談の上行って下さい。また、基本的にアイシングは感覚が無くなるまで行いますが、アイシング終了後も灼熱感が続くようであれば、凍傷の可能性があるのでアイシングの繰り返しは止め、医療機関を受診してください。 

間違ったアイシングの方法はしていませんか?

冷却湿布とコールドスプレーで済ませてしまう

冷やせば良いと思って冷却湿布やコールドスプレーを使用することは十分なアイシングとは言えません。この2つは皮膚の表面温度しか下がらず、ケガをした筋肉まで冷やすことができないからです。

コールドスプレーは競技中にどうしても時間がない(すぐに競技を継続しなければならない)ときに痛みの感覚を冷たさで紛らわせるための簡単な処置です。競技終了後すぐにアイシングを行いましょう。

冷却湿布はアイシングを継続することが難しい就寝中、仕事中、授業中などに使用します。1日中貼り続けている人が多いですが、湿布の効果は半日です。朝と夜に貼り替えて使用して下さい。また、湿布を剥がしたときに湿布が乾いているようであれば、貼っていた部分は熱を帯びているということです。熱感は炎症症状の1つです。時間があるときにアイシングを行いましょう。

バケツに氷水を入れてアイシングする

捻挫直後にバケツに氷水を入れてアイシングをした経験がある方も居ると思いますが、それではRICE処置のElevation(挙上)が無いので最適とは言えません。氷嚢が無ければビニール袋に氷を入れて、正しいアイシングを行いましょう。

※捻挫ではなく、少しの違和感や疲労回復を目的としている場合ならバケツの方法でOKです。

季節による問題

冬は寒くてアイシングをしたくないと思うことも多いです。しかし、寒くてもケガをしてしまった部分は熱を帯びています。部屋を十分に温かくしてアイシングを行うようにして下さい。

具体的なケガに対するアイシング時間を紹介

捻挫・打撲・突き指・肉離れ・ぎっくり腰

アイシングは捻挫をしてしまった直後から2日間(48時間)は可能な限りアイシングを繰り返します。1~2時間ごとに1回20分のアイシングを繰り返して下さい。アイシングをしていない間はバンテージ(伸縮性のある包帯)を使用し圧迫しましょう。睡眠中は凍傷の危険性があるので冷却湿布を使用すると良いです。最低2日間は入浴はせず、シャワー浴で済ませましょう。

筋肉・関節にピキッという違和感があった

なんとなくハムストリングス(太腿の裏)がピキッとなった様な違和感がスクワットで起きてしまったとします。その時は、トレーニングを中止し、すぐにアイシングを行います。トレーニングジムにも製氷機は常備してあるはずなので、スタッフに聞いてみましょう。トレーニングジムですぐに行えない場合は帰宅後すぐに行います。さらに入浴後ももう一度アイシングして冷却湿布を貼って様子を見てみて下さい。翌日も違和感が残る場合は医療機関の受診をお勧めします。

同一部位の使いすぎによる疲労(シンスプリント、腸脛靭帯炎、野球肘など)

野球選手が投球後に肩をアイシングする場面を見たことはありませんか?これは使いすぎによって生じるであろう炎症(熱、赤み、痛み、腫れなど)を早く改善させるために行います。繰り返しの動作は関節・筋肉が知らず知らずのうちに疲労し、気がついた時には痛みとして出現してしまいます。腱鞘炎が良い例ですね。

疲労が痛みに変化しないうちに、練習中に短時間でもアイシングを行いましょう。目安としては冷えて気持ちが良いと思う程度です。冷やしすぎは感覚が鈍くなった分、筋肉への神経伝達速度が遅くなり、力を発揮しにくくなるので重量を扱う場合や試合中は注意が必要です。トレーニングが終了したら、しっかりとアイシングを行いましょう。

骨折

出来る限りのRICE処置を行いながら、すぐに医療機関を受診しましょう。段ボールや雑誌などを添え木にして包帯で固定すると効果的です。

ケガをした時のトレーニングとの上手な向き合い方

ケガによって思ったようなトレーニングが行えない悲しみ、焦りはケガを負ったら経験するものです。

しかし、焦って負荷の高いトレーニングを進めてしまうと悪化してしまう可能性があります。

POLICE処置では「適切な負荷」も大切というお話をしましたが、「適切な負荷」は専門的知識が無ければ出来ないことです。医療機関やトレーナーと確認しながら徐々に負荷をかけていきましょう。

しかし、ケガをしている期間、何も行わずにただ休んでいるのは非常にもったいないです。出来ることは山ほどあります。

「物事には意味がないものはない。どんなことが起きても『せっかく』と思え」

小出監督の追悼式の際に有森裕子さんがお話しされていました。競技のことだけでなく、人間性を教えてくれる小出監督のすばらしい名言です。

「せっかく」ケガをしたのだから

・時間が無いと出来なかったフォームの研究をしよう。

・食事やサプリメントを見直してみよう。

・チームをゆっくり見渡してみて、チームのために出来ることがないか考えよう。

・何のためにトレーニングをしているのか目標を見つめ直そう。

・足首の捻挫なら、肩と胸を最高の仕上がりにしてみせよう。

など、ケガと上手に向き合うことで、良い結果を導くことはいくらでも可能です。焦らず腐らず、「せっかく」の時間を有効活用できる心の強い人間を育てましょう。

医学的研究はまだまだ可能性あり

少し長くなってしまいましたが、今回はケガの応急処置を対象にアイシングについて紹介させていただきました。

アイシングは応急処置でこそ効果が確立されていますが、筋肥大や慢性期の回復促進、疲労回復、筋肉痛の緩和に対する明確な根拠は、まだまだ研究が進んでいない様です。

特に筋肉痛に関しては、未だ様々な議論がなされていますね…(年齢による出現時間の差や乳酸についてなど)トレーニーにとって筋肉痛は切っても切れない大切な反応だと思います。なので次回は筋肉痛について、理学療法士&トレーナー的立場から記事を書かせていただこうと思っています!

 

トレーニーの皆さんが、ケガをせず楽しくトレーニングを継続されることを願うと同時に、適切なRICE処置ができる一流のトレーニーが増えることを期待しています!

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