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【動画あり】瞬発力を高めたい人にお勧めのプライオメトリクストレーニング7選!

プライオメトリクストレーニング

こんにちは。Natsumi( @natsumi_dct )です。

筋トレはボディメイク・競技能力の向上に大切ですが…

筋トレをしただけでスポーツのパフォーマンスが向上する訳ではありません。

一般的な筋トレやウエイトトレーニングは、テンポはある程度一定で、ゆっくりと、自分でしっかり動きをコントロールしながら行うものです。

一方でスポーツ競技はスピードの要素が重要視されます。特に「速く走る」「瞬時に高く跳ぶ」「強い球を蹴る・打つ」ことにおいては短時間で爆発的な力を出す必要があります。

これを瞬発力と言い、スポーツのパフォーマンスアップには欠かせない要素です。

今回は理学療法士、中学陸上競技部トレーナーの知識・経験から、瞬発力を高め、陸上やサッカー、野球などの競技能力向上にお勧めのプライオメトリクストレーニングを紹介します。

瞬発力を高めるならプライオメトリクストレーニングがお勧め!

記事が長くなったので結論から先にお伝えします。

瞬発力の向上を説明する上で、「瞬発力=筋力×速さ」の法則が重要になります。その理論をもとに考えられたのがプライオメトリクストレーニングです。

筋力は速さに優れている速筋(白筋)を中心に強化し、筋肉が速く引き伸ばされた状態から縮む(戻る)力を利用して爆発的なパワーが出るようにするトレーニング方法です。

今回は動画も使用しながら以下の7つの具体的なトレーニング方法を紹介しています。

筋の収縮様式
  • 求心(短縮)性収縮:筋が力を発揮しながら短くなる。ダンベルを持って肘を曲げる時の上腕二頭筋の動き。
  • 伸張性収縮:筋が力を発揮しながら筋が長くなる。ダンベルを持って肘を伸ばす時の上腕二頭筋の動き。
  • 等尺性収縮:筋が力を発揮しながら筋の長さは変わらない。ダンベルを持って肘を一定の角度で保持している時の上腕二頭筋の動き。

では、「瞬発力(パワー)=筋力×速さ」なので、筋トレで筋力を鍛えれば瞬発力が上がる!と考えた方もいるのではないでしょうか?

残念ながらそう上手くはいきません…。

短距離走をしている方がひたすら筋トレをしているわけではないですし、ボディービルダーの誰もが足が速いわけではありません。

筋力は速さに単純に比例する訳ではないのです。

これを説明するには「力-速度関係」が重要になります。

ソース画像を表示画像:Deus ex machinaな日々 運動速度と最大筋力の関係 「力―速度関係」

伸張性収縮で得る力は速度に比例しますが、短縮性収縮では反比例しています。

先ほどのアームカールで説明すると、

ダンベルを下げる時の上腕二頭筋(伸張性収縮)はダンベルを下げる速度が速いほど強い力を発揮し、

ダンベルを上げる時の上腕二頭筋(短縮性収縮)はダンベルを上げる速度が速いほど力は発揮されにくいということです。

拮抗筋については考えなくていいの?

ここで拮抗筋の上腕三頭筋のことは考えなくていいの?と思われたかもしれませんが、ウエイトトレーニングには主動作筋と拮抗筋の関係は大切です。しかしプライオメトリクストレーニングの時は拮抗筋の話をするとかなり難しくなってしまうので、「拮抗筋のことは考えなくて良い(抑制されている)」としておきます。

ソース画像を表示

画像:Sprint&Conditioning よくわかる筋肉の収縮様式

つまり、瞬発力には伸張性収縮の速さと力が重要と言えます。

伸張性収縮の例
  • スタートダッシュの時のハムストリングスの収縮
  • バレーのスパイクやテニスでラケットを振り抜く際の広背筋の収縮
  • サッカーで強い球を蹴る時の腓腹筋の収縮

瞬発力を高めるためには速筋の伸張性収縮が重要

瞬発力に関係する筋肉

  速筋(白筋)に分類される筋。以下は代表的な筋肉。

  • 上腕二頭筋
  • 大胸筋
  • 腸腰筋
  • 大腿直筋

ヒトには約400種類の骨格筋があります。そして骨格筋は直径20~100μmの非常に細い筋線維からできています。筋線維は収縮速度の違いによって大きく速筋・遅筋の2種類に分けられます。

速筋線維は白筋、遅筋線維は赤筋とも言われ、ミオグロビンという色素タンパク質の違いにより筋線維の色が異なります。よく魚で例えられますが、タイやヒラメのような白身魚は近海を力強く泳ぎ、マグロのような遠海魚は赤身魚です。

ヒトは大胸筋や腸腰筋などの大きな筋肉の方が速筋の割合が多くなっています。

速筋はグリコーゲン代謝エネルギーのため、筋肥大もしやすいと言えます。

重量挙げや短距離走の選手が筋肉ムキムキに見えるのは大きな筋肉である速筋が発達している為です。反対に長距離選手はスリムなのは遅筋の割合が多いヒラメ筋や脊柱起立筋をメインに脂肪燃焼代謝エネルギーで活動するからです。

つまり、瞬発力を上げたいのであれば速筋を使って爆発的なエネルギーを生み出す必要があります!

そして、「力-速度関係」から、速筋の伸張性収縮が重要となります!

ソース画像を表示

画像引用:日経Gooday ”筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学

しかし、速筋と遅筋の割合は遺伝的な要素が強いと言われており、ミトコンドリアの影響を受けます(母親からの遺伝)。小さいころから短距離走が速い子は速筋の遺伝的要素が強いのかもしれません。

また、研究ではトレーニングによって速筋が遅筋に変換されることはあっても、遅筋が速筋に変わるというデータはありません。

結局、瞬発力は才能かよ…。と落ち込むのはまだ早いです!!

アスリートで頂点を目指すのならば自分がどちらの割合が高いのかを知り、勝てる競技を探すことは大切だと思います。指導者であれば、選手の才能を見抜くのも大事な役割です。

しかし、趣味や楽しさを優先して行うのであれば、トレーニング次第で変化させることは可能です!

速筋と遅筋の割合を変えられなくても、トレーニングによって速筋線維を使いこなせる身体にするトレーニング方法を説明していきます。

瞬発力を高めるプライオメトリクストレーニングとは

瞬発力を高めるのに速筋の伸張性収縮の速さと力(パワー)が大切である話をしました。

速く強い伸張性収縮を行うと、次に身体に起こる反応は速く強い求心(短縮)性収縮です。

速筋の伸張性収縮のパワーが強いほど、得られる求心性収縮のパワーは増大し、この切り替えが速いほど瞬発力は向上します。

勢いよく筋を伸ばすと、筋肉は「これ以上のパワーで伸ばされたら筋が切れちゃうよ!」となり、反射的に筋肉を縮めます。これを「伸張性反射」と言います。

ゴムをイメージするとわかりやすいと思います。輪ゴムの両端を勢いよく引っ張った後は、勢いよく縮みます。

この反応が筋肉でも起こっています。

この伸張反射(伸張と短縮の筋活動の組み合わせ)を狙って鍛えるトレーニングがプライオメトリクス(プライオメトリック)トレーニングです。

瞬発力を必要とするスポーツの競技者の多くの方が取り入れているトレーニング方法です。
 
普段行っている筋トレに加えて、プライオメトリクストレーニングを追加することで、筋トレしただけより圧倒的な瞬発力を出すことが可能になります。

プライオメトリクストレーニングを行う際の注意点

ウォーミングアップをしっかりしてケガに注意しよう

プライオメトリクストレーニングは強度の高いトレーニングです。それゆえに、傷害のリスクは増大します。特に筋を伸張するので、アキレス腱断裂や肉離れには十分気をつけなければなりません。

トレーニング前にはウォーミングアップでしっかりと身体を温めましょう。ウォーミングアップはトレーニングの質に大きく影響します。

比較的身体が温まった後にプレプライオメトリクストレーニングを行うことをお勧めします。これからパワーを使うトレーニングをすることを脳と筋肉に準備してもらうための方法です。

以下に簡単に行える方法を紹介します。

お勧めのプレプライオメトリクストレーニング
  • その場での連続ジャンプ
  • 縄跳び
  • スキップ

トレーニング頻度の考え方は筋トレと同じ。超回復は無視できない。

グリコーゲンをエネルギーとする速筋にパワーを要求するので、筋肥大・パワー向上のためには超回復を得る必要があります。

下半身を鍛えるプライオメトリクストレーニングをしたならば2日間は下半身のトレーニングは休み、休養にあてたり、上半身やその他の部分のトレーニングや有酸素運動を行いましょう。

プライオメトリクストレーニングのトレーニング頻度としては週2~3回程度で、ウエイトトレーニングの頻度の考え方と同じです。

超回復についてはこちらにまとめています。人気の記事なので、ぜひ読んでみて下さい!

超回復の嘘と本当。筋トレとの相性は?超回復の正体はグリコーゲンの回復だった!

効果的なプライオメトリクストレーニング7選!動画付きで紹介

効果的なプライオメトリクストレーニングの代表例を7つ紹介します!

お勧めのプライオメトリクストレーニング7選
  • ジャンプ系トレーニング:ジャンピングスクワット、スプリットジャンプ、腕立てジャンプ
  • パワー系トレーニング:メディシンボール投げ
  • 走りへ繋げるトレーニング:スピードスキップ、バウンディング、片脚ホッピング

ジャンプ系トレーニング

①ジャンピングスクワット

方法

  1. 肩幅より少し広く足を開く
  2. つま先でしっかりと地面を押して、なるべく高く強くその場でジャンプする
  3. ジャンプの時は腕も上に引き上げるようにして身体全体を使う
  4. 着地の際膝を90度近くまで曲げ、背中は真っ直ぐにする

ポイントと注意点

しっかりとつま先で地面を押して高くジャンプしましょう。着地姿勢は、背中が丸まらない様にし、股関節で着地の衝撃を受け止めるイメージです。この時、膝の皿がつま先と同じ方向を向くようにし、膝は90度以上曲げないようにします。

②スプリットジャンプ

方法

  1. 足を前後に開き、膝の角度が90度になるよう身体を沈める
  2. 腕は走る時と同じで、顎の高さに手がくるようにする
  3. 後方の足で地面を蹴り上げて高くジャンプする
  4. ジャンプと同時に前後の足を入れ替えて着地する

ポイントと注意点

後方の足で地面を蹴り上げ、大殿筋とハムストリングスを刺激しましょう。背中が丸まらない様にするため、お腹に力を入れて体幹をキープします。着地の時は膝が内側や外側に入らないように気を付けて下さい。着地したらすぐにジャンプし、リズムよく行います。

③腕立てジャンプ

方法

  1. 腕立て伏せの開始姿勢を作ります
  2. 身体が一直線になるように肘を曲げて上体を下げます
  3. 開始姿勢に戻る時に、手で地面を押して素早く上体を上げ、両手を床から離します(余裕がある方は動画のように両手を地面から離し手を叩く、クラップ腕立て伏せを行います)
  4. 身体は一直線にし、両手で着地します

ポイントと注意点

顔面や胸部を地面に打たない様に、少しだけ手を離すことから始めてみましょう。手を叩くクラップ腕立て伏せは、ジャンプ腕立て伏せよりも高くジャンプし上体を長く宙に浮かせておく必要があるため非常に高度なトレーニングになります。着地の際は両手が同じタイミングで地面につくようにし、肩が内側に入らないようにして下さい。

パワー系トレーニング

メディシンボール投げ(フロント)

方法

  1. 足は肩幅より広く開きます
  2. ボールを両手で持ち、顔の高さ程に上げます
  3. 股の下にボールが来るようにしスクワットの時のような姿勢になります
  4. つま先で地面を強く押し、前上方へボールを投げます

ポイントと注意点

メディシンボールは重さのあるボールです。まずは2~3㎏位から始めてみましょう。腕だけでなく全身の力を使って投げます。地面から力をもらい、投げた時に自然と足が2~3歩前へ出てしまうようなら上手に身体が使えている証拠です。弧を描くような軌道になるように投げましょう。慣れてきたらバックやサイドに投げるトレーニングもあります。

走りへ繋げるトレーニング

①スピードスキップ

方法

  1. 普通のスキップの上下動を減らし、前方への力へ変えます(走るスピードでスキップ)
  2. 地面との接地時間を短くし、前後の脚の切り替えを速くする

ポイントと注意点

スキップ中は頭の高さが上下動しないように一定の高さになるようにします。前に前に進むことを意識し、接地はタタンと短く乾いた音で行えるように意識しましょう(普通のスキップはポンポーンという長い接地時間)。

②バウンディング

方法

  1. 少し加速をつけて、後方の足で地面を押し、前方の足を膝から前に大きく出します
  2. 接地した瞬間に、地面を後下方に押し、跳ねるようにしながら反対の足を素早く膝から前に出すことを繰り返します

注意点

接地は足底全体で行うようにし、接地時間は短く、地面からしっかりと力をもらいます。腰が落ちない様に、重心(腰)が前に進むようにして跳ねます。頭の高さが上下しない様に一定の高さになっていると、重心が前方に乗っている状態です。しっかり跳ねて進まないと、ただ大股で走っているような人になってしまいます。最初のうちはスティックを置いたり、線を引いて、それを跨ぎ越えるようにすると良いでしょう。ポンポンポンと頭でリズムを刻みながら行いましょう。

③片脚ホッピング

方法

  1. 片脚でできるだけ前へ大きく跳ぶ
  2. 接地しない方の上げている脚は、接地する脚の膝の高さに足首がくるように固定しておく
  3. 接地したらすぐにまた前へ大きく跳ぶ

注意点

前述のバウンディングより片足で行うため難易度・負荷量は上がります。片足ケンケンを速く大きく行うのが片脚ホッピングです。腕は接地する脚の方の腕振りを意識してみて下さい。接地した瞬間に足の脇を前腕が通るように後ろから前へ持っていきます。片脚ホッピングもバウンディングも接地が非常に重要になり、接地時間は短く、接地した瞬間に足の真上に腰が乗っている状態を作ります。言葉で言うのは簡単ですが、このフォームが短距離走が速くなる要素(技術)の大半を占めています。

プライオメトリクストレーニングは瞬発力向上に効果的!皆さんの自己ベスト更新を応援しています!

スポーツ競技は筋トレだけでは補えないスピードの要素が重要視され、どのスポーツも短時間で爆発的な力を必要とする場面があります。これを瞬発力と言い、スポーツのパフォーマンスアップには欠かせません。

プライオメトリクストレーニングは伸張反射(筋肉が速く引き伸ばされた状態から縮む力)を利用して瞬発力を高めるトレーニングです。

瞬発力の向上を説明する上では「瞬発力=筋力×速さ」の法則が重要になります。

筋力は速さに優れている速筋(白筋)を中心に強化し、速いスピードの中で筋力を発揮できるようにすればスポーツでの活躍、競技能力の向上が期待できます。

今回は、動画も使用しながら以下のプライオメトリクストレーニングの代表例7つを紹介しました。

お勧めのプライオメトリクストレーニング7選
  • ジャンプ系トレーニング:ジャンピングスクワット、スプリットジャンプ、腕立てジャンプ
  • パワー系トレーニング:メディシンボール投げ
  • 走りへ繋げるトレーニング:スピードスキップ、バウンディング、片脚ホッピング

ぜひ参考にして頂き、自己ベストの更新が出来る様に応援しています!

それではみなさん、良いスポーツライフをお過ごしください!