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パーソナルジムの仕組み化|作り切った瞬間に「これじゃダメだ」と思った話

この記事の要点

  • 任せる前に、一度は自分で現場に立つ。自分でやったことしか、人に任せられない
  • 仕組みは作った瞬間がピーク。作るべきは、モデルを作り変えられる人だった
  • 求人も集客と同じ。呼びかけた言葉が来る人を決める。今は完成品ではなく、途中に入ってもらう形を試している

2025年の春、ずっと作りたかった形が、ようやくできあがりました。

パーソナルジムで、一人ひとりに向き合う。

卒業したあとは、24時間ジムで、自分のペースで続けてもらう。

パズルが、ハマった感じがしました。

そして、ハマった途端に、怖くなりました。

トレーナー経験ゼロの私が、ジムの現場に立って3年。

メニューも、食事指導も、集客も、採用も、一つずつ型にしてきました。

仕組みとしては、ちゃんと回るようになった。

なのに、作り切った瞬間に「これじゃダメだ」と思ったんです。

この記事では、

  • 人に任せてうまくいかなかったジムを、どうやって立て直したのか
  • 仕組みを作り切って、何に気づいたのか
  • 今、何につまずいていて、何を試しているのか

を、当時の記録と写真をもとに書きます。

ジムに限らず、小さなお店や会社で「仕組み化」に取り組んでいる人に、何か一つでも持って帰ってもらえたらうれしいです。

2023年11月のCLASSIC GYM。自分が現場に立ち始めたころ
2023年11月のCLASSIC GYM。自分が現場に立ち始めたころ

任せていたジムが、うまくいかなかった

2021年7月、見附でパーソナルジム「CLASSIC GYM」を開きました。

当時の私は、不動産事業(大家業)に全振りしていた時期です。

ジムは、トレーナーさんに任せました。

1人目のトレーナーさんとは、毎月決まった額で契約しました。

生活の心配なく、ジムに集中してもらえると思ったからです。

でも、決まった額がもらえるなら、お客様が来ないほうが楽です。

集客を頑張る理由が、どこにもありません。

2人目のトレーナーさんとは、売上を分け合う形にしました。

今度こそ、頑張る理由ができると思いました。

ただ、ちゃんとした教育をしないまま現場に出てもらって、気づけば集客まで丸ごと任せていました。

売上を分け合う形は、売上が立たなければ、そのまま相手の生活が苦しくなります。

2023年9月、「トレーナーとして指導する自信がもうない」と連絡が来ました。

決まった額にすれば、頑張る理由がなくなる。

分け合う形にすれば、リスクを相手に背負わせる。

どちらも、仕組みがないまま人に任せた時点で、うまくいくはずがありませんでした。

人のせいにしたくなる場面も、正直ありました。

でも振り返ると、相手はいつも、私が作った形のとおりに動いていただけです。

人は、設計どおりに動きます。

この失敗は、当時のまま、こちらに残しています。

→ パーソナルジム経営の失敗談|田舎で5年やった僕のリアルな体験記

最初のお客様には、会う前に断られた

2023年10月、トレーナー経験ゼロのまま、私が現場に立つことにしました。

最初のお客様には、会う前に断られました。

引き継ぎの連絡を入れた段階で、「トレーナーが代わるなら、辞めます」と。

まあ、そうだよなと思いました。

このままだと、全員辞めてしまうかもしれない。

それで、伝え方を変えました。

「食事指導も付けた新しい内容を作ったので、料金そのままでモニターになってもらえませんか。その代わり、担当は私に代わります」

自分から出ていって、そう提案しました。

残りのお客様は、全員そのまま続けてくれることになりました。

「トレーナーが代わります」ではなく、「お客様にとって何が良くなるのか」から話す。

今思えば、これが現場で最初に覚えたことでした。

一つずつ自分でやって、型にした

そこから1年くらいは、とにかく働きました。

作り直しというより、ほぼ作り始めです。

現場に立って、初めて見えたことがたくさんありました。

お客様が、何に困って来ているのか。

どこでつまずいて、どこで辞めたくなるのか。

どんな言葉なら伝わって、どんな言葉だと伝わらないのか。

一つずつ試して、うまくいったら残す。ダメなら変える。

機材も、何度も入れ替えました。

2023年10月、入れ替える機材を自分で運んだ
2023年10月、入れ替える機材を自分で運んだ
運んだ機材を据えたところ。最初から完成形を作るのではなく、試しながら変えていった
運んだ機材を据えたところ。最初から完成形を作るのではなく、試しながら変えていった

メニュー、食事指導、集客、続けてもらう仕組み、採用、教育。

マニュアルを作ったのも、教育の流れを作ったのも、この時期です。

全部、私が現場で一度やったことを書き起こしたものです。

現場でやったことを書き起こした、トレーナー向けのケーススタディ集や社内資料
現場でやったことを書き起こした、トレーナー向けのケーススタディ集や社内資料

自分でやったことしか、人に任せられない。

それまでは、全てを任せていました。

任せていたから、何がうまくいっていないのかも分かっていなかった。

私は、トレーナーになりたかったわけではありません。

今でも、トレーナーより向いている業種があると思っています。

でも、仕組みを作るには、一度は自分が中に入らないといけなかった。

遠回りに見えて、これが一番の近道でした。

もし今、人に任せたお店がうまくいっていないなら、一度、自分で現場に立ってみることをおすすめします。

任せる前に、任せられる形を作る。

形を作る前に、まず自分でやってみる。

順番は、この逆にはできませんでした。

パズルがハマった

パーソナルジムをやっていて、ずっと引っかかっていたことが2つありました。

1つは、目標を達成して卒業したお客様と、そこで関係が切れてしまうこと。

もう1つは、トレーナー1人が見られる人数に、上限があること。

卒業したあとも通えて、人がいなくても回る場所。

それが、2025年に作った女性専用の24時間ジム「ココカラジム」です。

自宅の斜め前にあった、小さなテナントです。

2025年4月、「女性専用24時間ジム オープン予定」の貼り紙を出したころ
2025年4月、「女性専用24時間ジム オープン予定」の貼り紙を出したころ

お金はかけられなかったので、できることは自分たちでやりました。

岐阜まで中古のスミスマシンを引き取りに行って、みんなで組み立てました。

機材は軽トラで運んだ
機材は軽トラで運んだ
組み立てたスミスマシン
組み立てたスミスマシン

入口の鍵は、警備会社の見積もりが70万円。

スマートロックを組み合わせて、約1万6千円で作りました。

2025年4月、準備中のココカラジム
2025年4月、準備中のココカラジム
2025年5月。6月18日に正式に営業を始めた
2025年5月。6月18日に正式に営業を始めた

パーソナルで、一人ひとりに向き合う。

24時間ジムで、その先も続けられる場所を用意する。

仕組みとしては、ちゃんと回るようになりました。

ハマった途端に、怖くなった

なのに、作り切った瞬間に「これじゃダメだ」と思いました。

ビジネスモデルは、作った瞬間がピークです。

私は年を取るし、世の中も変わります。

お客様が求めるものも、集客のやり方も、少しずつずれていきます。

作った日から、少しずつ古くなっていくんです。

もう一つ、引っかかったことがあります。

このモデルを、次の人に渡したらどうなるか。

受け取った人は、守ることはできても、変えることはできません。

世代を追うごとに、少しずつ弱くなっていく。

本当は、逆のはずです。

ノウハウは溜まっていくんだから、引き継ぐほど強くならないとおかしい。

それまで私は、「人に依存しない形」が正解だと思っていました。

入口をWebにして、誰がやっても回る形を目指していました。

今は、そこがまるっきりひっくり返りました。

作るべきは、モデルではなく、モデルを作り変えられる人だった。

仕組み化に取り組んでいる人ほど、一度ここで立ち止まってほしいと思います。

仕組みは、人を楽にするためのものです。

でも、仕組みを守ることが目的になると、人が考えなくなります。

考えない人ばかりの組織は、仕組みが古くなったときに、一緒に沈みます。

人で、ことごとくつまずいた

……と言うのは簡単で、ここから先が、新潟に来てから一番うまくいっていないところです。

人を育てたい。そのためには、まず出会わないといけない。

それで、お客様を集めるのと同じやり方で、求人をしました。

ページを作って、広告を出して、反応を見て直す。

呼びかけは「副業でトレーナーをやってみませんか」です。

いきなり本業にするより、まず合うかどうか試して欲しいと思ったからです。

応募は、ちゃんと来ました。

田舎でも、トレーナーをやってみたい人はいます。

たくさんの人と会って、話すことができました。

ここから、つまずきが続きます。

つまずき① 鍛えている人なら、教えられると思っていた

最初は、トレーニング歴や体つきで選んでいました。

しっかり鍛えている人なら、教えることもできるだろうと。

全然違いました。

自分で鍛えられることと、人に伝えられることは、まったく別の力でした。

ここは、本当にたくさん失敗しました。

途中で気づいたのは、誰を採るかで悩んでいるのは、採ったあとどう育てるかが決まっていないからだ、ということです。

お客様に対しては、カリキュラムという形で作ってありました。

最初の1か月で何をして、3か月後にどうなっていて、半年後にどこを目指すのか。

同じものを、トレーナーさん向けにも作りました。

最初に何を覚えて、どの段階で何ができるようになって、どこまで来たら一人でお客様を任せられるのか。

育て方が決まると、不思議と、誰を採ればいいかも決まってきます。

このカリキュラムを、楽しんで進められる人。

それが、うちに合う人でした。

つまずき② 「副業で」と呼びかけたら、副業の人が来た

育て方が決まっても、まだズレていました。

私が出会いたかったのは、最終的にお店を一人で運営できる人です。

モデルを守る人ではなく、作り変えていける人。

でも「副業でどうですか」と呼びかけたら、来るのは副業を求める人でした。

それ自体は、何も悪くありません。こちらが、そう呼びかけたんですから。

呼びかけた言葉が、そのまま来る人を決めていました。

集客で散々学んだはずのことを、求人でもう一回やっていました。

当たり前すぎて、気づくまでにかなり時間がかかりました。

つまずき③ 条件で、断られた

少し前には、一緒に働いてもらう予定だった方に、条件の差で断られました。

ジムの売上を、たとえば月80万円から100万円に伸ばしても、この差は埋まらない。

これまでのやり方の限界を、突きつけられた気がしました。

トレーナーさんとの打ち合わせ
トレーナーさんとの打ち合わせ

今、試していること

それで、戦い方を変えることにしました。

私が真ん中にいて、全部を回す形から、抱え込む量を減らしていく形へ。

私が動いた分だけ稼ぐ形から、人と仕組みで回る形へ。

今、試していることを3つ書きます。

① 呼びかけを「副業」から「お店を任せる」に変えた

2026年の秋から、求人の呼びかけを変えました。

「副業で試してみませんか」ではなく、「店舗を任せられるトレーナーを募集します」。

入口を狭めた分、応募は減ります。

その代わり、来てくれる人の目線が変わりました。

② 面談では、業界の厳しい話を全部する

面談では、良い話より先に、厳しい話をします。

雇われている間は、集客をまず教えてもらえないこと。

一人で見られるお客様の数には、上限があること。

人を雇う側に回っても、思ったほど余裕は出ないこと。

「うちに来れば大丈夫ですよ」と言えば、もっと簡単に前向きな空気になるのは分かっています。

でも、知らないまま入ってもらって、半年後に「聞いていなかった」となるほうが、お互いにずっと消耗します。

採用する側として正しいやり方なのかは、まだ分かりません。

それでも今のところは、全部話すほうを選んでいます。

③ 完成品を渡すのではなく、途中に入ってもらう

面談のあと、すぐには採用しません。

まずは、勉強会に来てもらいます。

2026年10月31日、お客様向けの勉強会「カラダの取扱説明書」の第1回を開きました。

テーマは血糖値。

現役のお客様、卒業生、初めての方の5名が来てくれました。

2026年10月31日、お客様向けの勉強会「カラダの取扱説明書」第1回(参加者の顔はぼかしています)
2026年10月31日、お客様向けの勉強会「カラダの取扱説明書」第1回(参加者の顔はぼかしています)

講義のあとは、トレーナー同士の会議です。

次の回からは、トレーナーさんが講師を担当します。

お客様に伝えることが、そのままトレーナーさんの勉強になるように作っています。

完成したものを渡すのではなく、作っている途中に、一緒に入ってもらう。

組織は、たぶん永遠に完成しません。

だったら、その途中の時間そのものが、ちゃんと報われる場にしたい。

私自身、筋トレに救われたのは、完成品を渡されたときではありませんでした。

毎週少しずつ重量が伸びていく、その途中が楽しかったからです。

渡したいのは、カリキュラムではなく考え方

ここ1〜2年で、はっきりしてきたことがあります。

うちのやり方に、完成はありません。

時代は変わるし、私も変わっていきます。

去年の正解が、今年も正解とは限りません。

そう考えると、完成したカリキュラムやマニュアルを渡すことには、そこまで大きな意味がないんです。

大事なのは、時代が変わったとき、自分が変わったときに、それを作り変えられるかどうか。

もう一つあります。

うちのカリキュラムは、食事も、体の使い方も、私の価値観がかなり色濃く出ています。

真面目にやる人が、ちゃんと報われるように。

流行りではなく、100年後も変わらない基礎だけを残すように。

集客のやり方も、教え方も、その価値観と紐づいて作られています。

だから、やり方だけを持っていっても、たぶんうまく使えません。

価値観が合う人でないと、使いこなせないものだと考えています。

だからこそ、この考え方ごと受け取ってくれる人と出会いたい。

それが、今一番思っていることです。

仕組み化に取り組んでいる人へ

最後に、6年前の自分に伝えるつもりで、まとめておきます。

  1. 任せる前に、一度は自分でやる:自分でやったことしか、人に任せられない
  2. 人は、設計どおりに動く:うまくいかないとき、相手より先に、自分が作った形を疑う
  3. 仕組みは、作った瞬間がピーク:守る人ではなく、作り変えられる人を育てる
  4. 育て方が決まると、採る人が決まる:鍛えられる力と、伝える力は別物
  5. 求人も、集客と同じ:呼びかけた言葉が、来る人を決める
  6. 完成品を渡すより、途中に入ってもらう:組織は、たぶん永遠に完成しない

まだ途中です

正直に言うと、うまくいっていることより、悩んでいることのほうが多いです。

育てた人ほど、独立していくかもしれない。

仕組みを作り込むほど、人が育たなくなるかもしれない。

この問いには、まだ答えが出ていません。

ただ、2023年に現場に入ったときと同じで、一つずつ自分でやってみて、うまくいったら残す。ダメなら変える。

それしかないと思っています。

この章は、まだ書いている途中です。

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